会長挨拶
このたび第96回日本結核 非結核性抗酸菌症学会総会・学術講演会の会長を務めさせていただくことになりました国立病院機構東名古屋病院の小川賢二です。当院が国立療養所東名古屋病院として昭和43年にスタートした当時、結核病床は920床という今では想像し難い大規模なものでしたが、RFPの登場、標準治療法の普及、DOTSの定着、多剤耐性結核に対する新規抗結核薬の開発上市を経て、現在は1病棟40床にまで規模を縮小しています。日本全体の罹患率もまもなく10未満となり、わが国も長年の念願であった結核低蔓延国になると思われます。今後の課題は結核が減少したことによる医療者の意識低下や経験不足が原因となり、結核患者の見逃しとそこからの感染拡大が危惧されます。本学会総会では結核医療のUPDATEを通じ、臨床現場での適切な医療の遂行を少しでも後押しできれば幸いかと思います。
 一方、非結核性抗酸菌症は肺MAC症、肺M. abscessus症を中心に増加の一途をたどっています。私はライフワークとして1990年から現在までの約30年間にわたり本疾患に関する基礎・臨床研究を行ってきました。その間に本疾患の認知度は急速に高まり、菌の遺伝子解析を用いた病原因子探索や感染経路研究、また臨床対応能力の向上に寄与する診断治療に関する様々な研究成果が発表されています。しかし最も重要な治療の現状を見ますと、CAMやAZMをキードラッグとする多剤併用療法は一定の効果を認めることは事実ですが、症例により治療効果のばらつきが多く、特に進行し重症化したケースに対する効果は限定的であると言わざるを得ません。基本的には本疾患の進行は緩徐ですので、重症化させないために治療開始時期および治療期間や手術療法併用など様々な工夫がなされていますが、やはり結核治療におけるRFPのごとく強力な殺菌薬の開発が急務であると考えます。本総会では既存治療のUPDATEと共に治療のブレークスルーをもたらすUPDATEな研究情報を議論していただきたいと思います。
 開催場所は名古屋駅から雨天時でも雨に濡れることなく行ける名古屋コンベンションセンターを用意しました。開催時期が年度末の6月18日(金)~19日(土)となりお忙しいこととは思いますが、多くの皆さまのご参加をお待ちしております。