ホームページからのQ&A
| ホームページからのQ&A 1 平成20年年2月1日 |
質問:病院の入職時検診にツベルクリン反応の2段階法をするべきか。
理由:接触者検診において,ツベルクリン反応がQFTに代わりつつある現在,あえてベースラインのツベルクリン反応をする意味はあるのでしょうか。
2段階法でも陰性であれば,BCGを打つ,或いは,結核感染がおき易い呼吸器科の勤務を控えさせるなどの,配慮が必要なのでしょうか? |
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回答 医療従事者の入職時検診におけるツベルクリン反応検査について
結論:QFTを行うべきであって、ツベルクリン反応検査の意義は非常に低くなっている。
結核病学会 予防委員会の見解
「4.2医療関係者の結核管理職業上,結核感染の暴露の機会が予想される職場に就職・配属される職員について現在は二段階ツ反検査と,患者接触時のツ反検査が勧奨されてきたが,今後はツ反検査を廃止してQFTを行うべきである。この検査で陰性の者が,不用意に結核感染に暴露された場合にはQFT検査を行い,陽性者に化学予防を行う。
二段階ツ反は不正確であり,またブースター現象を免れない。QFTにはそれらの問題はない。」
入職時のQFT陽性は既感染としてその後の再検査不要,QFT陰性であればその後の感染診断が高い精度で可能ですが,ツベルクリン反応ではベースラインとして2段階法を行っていても,感染・発病の診断は非常に不正確のものとなります。
「2段階法でも陰性であれば,BCGを打つ,或いは,結核感染がおきやすい呼吸器科の勤務を控えさせるなどの,配慮が必要なのでしょうか?」につきましては,2段階法で陰性ならQFTでも陰性と推定されますが,ツ反陽性でもQFT陰性の者と扱いを変える根拠は見当たりません。すべての医療従事者が感染防止に留意すること,QFTにより感染したと判断された場合には「潜在性結核感染症の治療」を行うことに尽きると考えます。
(治療委員会委員長 重藤えり子)
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| ホームページからのQ&A 2 平成21年8月31日 |
質問
当院は、単科の精神科で結核患者の年に1~2名で診断された時点専門病院へ転院となっております。
さて、職員の健康診断で雇い入れ時にツベルクリン2段階法を実施、その判定により
①陰性者はBCG接種の勧告②強陽性または、発赤径が30㎜以上で前回よりも10㎜以上おおきくなった場合最近の感染を疑い内科医受診というマニュアルになっております。
また、平成12年に職員全員が、ツベルクリン2段階法を実施ベースをして保管、接触者感染時のデータとしています。
お尋ねしたいことは、この方法(マニュアル)が、最近の結核予防の方法として適切であるか?と言うこと、接触者感染時のデータが平成12年のものでの使用できるのか?ということです。
「結核院内感染予防の手引き」についての中に職員のツ反の事が記載されていました。
日本結核病学会 の協力を受け策定されたものですが、平成11年10月18日の作成となっておりました。その後、新しく改訂されたものがあるでしょうか? |
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回答 結核病学会 予防委員会の見解
【ご指摘のように平成12年のものは現時点では陳腐な対応になります。 現在は御存じのようにクォンティフェロンTB-2G(さらに7月からは2GではなくGOLDとなり、
各都道府県いずれでも実施可能となった)による検査が常識となっています。
【http://www.jata.or.jp/rit/rj/2008.6sesyokusya.pdf#search='改正感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き'をご参照下さい】
【現在予防委員会にて策定中で、今年度中には公表いたします。 骨子は、「採用時の二段階ツ反は推奨しない」「年1回の胸部レントゲン検査の励行」 「結核感染の危険が高い職場では定期的なクォンティフェロン検査実施」「無防備で接触した場合はクォンティフェロンによる接触者検診」
といったところです。】
(予防委員会委員長 重藤えり子)
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| ホームページからのQ&A 3 平成21年9月24日 |
質問 免疫抑制剤使用患者に対するINH投与に関して
ご教示いただきたいことがあり、ご連絡させていただきました。
「さらに積極的な化学予防の実施について」という文書が日本結核学会予防委員会と有限責任中間法人日本リウマチ学会からの報告ということでH17/2/1付のものがホームページ上で公開されており、当院でもステロイド10mg以上の長期投与が必要と考えられる患者さんには、(結核に既往や明らかな接触歴がなくても)結核の蔓延地域であることを重視してINH(200mg/日を週に2回)の投与を行っているのですが、投与量に関しまして、推奨量などがあればご教示いただければ幸いです。(なお、腎機能障害はない患者さんに対しての投与量を教えていただければ幸甚に存じます) |
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回答
結核病学会にご質問いただき有難うございます。治療委員会委員長として可能な範囲でお答えいたします。
ご質問は、潜在性結核感染症[LTBI]の治療を行う場合のINHの用量設定についてと考えます。
INHの用量は結核症の治療、LTBIの治療のいずれにおいても同じで、体重1kgあたり5mgを目安として、1日最大量300mgとしております。 腎障害の有無にかかわらず同量で、6~9か月間継続、終了が標準的です。なお小児の場合には成人より多く10~15
mg/kg、1日最大量300mgです。間欠療法を行う場合には週2回、週3回法共にこの3倍、すなわち15mg/kg/dayですが、LTBIの治療における間欠療法については一般的ではなく、十分なデータもありません。
なお、INHの副作用として肝障害は、特に高齢ほど、少なくありません。従って、免疫抑制剤使用時に一律にINH投与を行うことには注意が必要と考えます。感染の有無の判断につきましては、平成17年にはまだクォンティフェロンQFTが一般に使用できませんでしたのでツ反で記載してありますが最近はQFTを重視するようになっています。QFT陽性の場合はほぼ確実に結核既感染であり化学予防の対象と考えられますが、QFT陰性でも化学予防を行う場合には、感染を受けているリスク、発病のリスクがINHの副作用のリスクを上回るかどうか検討が必要です。
以上、INHの用量・用法につきましては以上のとおりで、毎日の服薬が望ましいと考えます。
化学予防対象者についてはQFT感度の問題等もあり明確な線引きはしにくいのですが、以上の内容を参考にしていただければ幸いです。
(治療委員会委員長 重藤えり子)
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| ホームページからのQ&A 4 平成22年2月4日 |
質問 抗結核薬の経口投与困難例の調査資料に関して
平成17年に出されました本邦における抗結核薬の経口投与困難例の調査資料を興味深く拝見させて頂きました。
海外における同様の状況に関する参考資料を紹介して頂きたく存じます。
(ネットで色々検索したのですが該当するものが見当たりませんでした)
TB高蔓延国間で同様の傾向が見られるのでしょうか?
2) 本邦における経口投与困難例の最新調査データはあるのでしょうか?
平成17年 発表分が最新なのでしょうか?
3) 国別のTB患者数(XTB,MTB)について記載されている最新調査資料はあるのでしょうか? ネット検索ではかなり古いものしかヒットしませんでした。 |
回答
1) 海外での資料は、知る限りではないものと考えます。
経口投与困難例は、高齢者や医学的弱者の比率が高くなる低蔓延国の方が大きな問題であると考えられます。 一方、欧米ではRFP等も注射剤が利用可能なため、日本の様な問題提起はあまりないものと考えます。
静脈薬の必要性について、が主題ですと、的外れになるのですが、経口摂取不能全体ではなく、PEGを置いた結核症例については、
Warmelink G, Poels BJ, van Altena R, Peters FT.
Indications for percutaneous endoscopic gastrostomy in complex uberculosis
patients.
Int J Tuberc Lung Dis. 2007 Jan;11(1):85-90.
があります。
2) 平成17年以後にまとまったデータの発表はないと思います。
3) 最新で最も広範なデータは、
WHO/IUATLD Global Project on Anti-tuberculosis
Drug Resistance Surveillance 2002-2007 (WHO/HTM/TB/2008.394)
と考えます。
web上では
http://whqlibdoc.who.int/hq/2008/WHO_HTM_TB_2008.394_eng.pdf
となります。
(治療委員会委員長 重藤えり子 副委員長 吉山 崇) |
| ホームページからのQ&A 5 平成22年3月17日 |
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質問 examine sputum smear の訳に関して
英語で、結核の診断法を言うとき、examine sputum smear という表現があります。
日本語では、「喀痰検査」をさすものだと思います。examine sputum smear は、あくまで痰を顕微鏡で検査することだけを意味するのでしょうか。
「喀痰検査」がややかたい日本語なので、たとえば、「唾液を塗布した標本を検査」といった表現に言い換えても差し支えないのでしょうか。
sputum の意味合いにもよるのかもしれませんが、実際の診断法と照らして上記のような理解でいいのか、お教えいただければ幸いです。
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回答
「痰」と「唾液」は全く別のものですので、ご呈示の表現では意味が変わってしまいます。
特に喀痰塗抹検査では、検体として「唾液」を使用しないよう指導しております。
喀痰は下気道(肺の中)から出てくるものですが、唾液は口腔内から出るものですので、前者には多く結核菌が含まれる可能性がありますが、後者では感度が極端に低下します。
硬い表現で申し訳ないのですが、あくまで「喀痰塗抹検査」とご理解ください。
宜しくお願い申し上げます。
(抗酸菌検査法検討委員会 副委員長 御手洗 聡) |
| ホームページからのQ&A 6 平成22年8月4日 |
質問
今私の外来に通院している、31歳男性で肺結核(bⅡ3)の症例で初診時ガフキー7号でした。
HREZで治療を開始してまもなく2ヶ月になりますが、薬剤感受性がINH低容量(MIC 0.2)で耐性かつINH高容量(MIC 1.0)で感受性ありとの結果でした。
その場合に、現在のガイドラインですと2ヶ月目以降はINH+RFPの2剤に減量となっておりますが、本症例の場合はやはりINH耐性に準じて治療を行うべきなのか、あるいはINH+RFPのみを継続でよいのか悩んでおります。
文献的にもあまり記載がなくこのような場合に治療をどうしたらよいのか、もし何かご意見があるようであればご教授いただければ幸いです。 |
回答
薬剤感受性がINH低容量(MIC 0.2)で耐性かつINH高容量(MIC 1.0)で感受性ありとの結果
⇒ 小川培地における比率法で INH 0.2μg/mLで発育が認められた場合には「耐性」であると判断します。 1.0μg/mLにおける検査は、多くの薬剤に耐性がありINHを補助的に使用せざるをえない場合の参考値とするためのものです。
その場合に、現在のガイドラインですと2ヶ月目以降はINH+RFPの2剤に減量となっておりますが、本症例の場合はやはりINH耐性に準じて治療を行うべきなのか、あるいはINH+RFPのみを継続でよいのか
⇒ INH耐性として治療を組み立てなおす必要があります。これまで、事実上RFP+PZA+EBの3剤治療を行っていた事になります。原則としてはSM(とLVFX)を加えて4-5剤治療を6カ月、以後RFP+EBの2剤を3カ月の計9カ月となります。
この方は広汎空洞型であり、標準治療が可能な場合でも3カ月延長が必要な状況ですので、可能であればSMとLVFXを加えて今後6カ月(SMは通院が可能な場合のみでもよい、可能であれば最大6ヵ間)、以後RFP+EBを4-6カ月(全治療期間12カ月)が適当と考えられます。
なお、LVFXは保険上は適応外使用となります。
(治療委員会委員長 重藤えり子) |
| ホームページからのQ&A 7 平成23年7月3日 |
質問
私たちの学校では看護学生を臨時実習に送り出すにあたって、ツベルクリン反応検査の2段階法の実施と2回とも陰性の者にはBCGの追加接種を行ってまいりましたが、法改正に伴い、ここ2年ほどはツベルクリン反応検査を実施しておりませんでした。
しかし、昨年、学生の実習先の病棟(一般病棟)で結核患者が発生し、看護師の間で感染が広がりました。
その患者と学生の接触はなかったのと、その学年までは2段階のツベルクリン反応と追加BCG接種を行っており、学生への感染はなかったため、責任を問われるようなことはなかったのですが、今後ツベルクリン反応検査を実施していない学年でこのようなことが起こった場合に学校側の責任問題に発展しないとも限りません。
そのため、今年から、学生を実習に行かせるにあたって何らかの結核に対する感染予防対策を立てようと考えているのですが、ツベルクリン反応検査(2段階)や大人へのBCGの追加接種の有用性において、様々な議論がなされており、大学側といたしましても、感染対策をどのように立てていけばいいか判断に困っております。
昨年、日本結核病学会予防委員会により、「医療施設内の結核感染予防対策について」(Kekkaku Vol. 85, No. 5 : 477、2010)の発表がなされましたが、それによると、雇入れ時(入学時)の健康診断に際しては法令に定められた検査項目のほか、QFT検査の実施を推奨する。雇入れ時(入学時)のツ反検査は推奨しない。この雇入れ時の
QFT 検査結果をベースラインとする。<見解:3 > 実習生等に対するQFT検査 医療職教育・養成機関の学生等が病院等にて実習をする場合,実習は定常的でなくかつ比較的短期間であることよりQFT検査は必ずしも必要ではない。QFT
を行わない場合,年齢を考慮すればほとんどの学生が未感染者であると考えられるので,結核既往のある者・明らかに結核患者と接触歴がある者以外のベースラインはQFT
陰性とみなす。と書かれております。
この文章から考えると、入学時にQFT検査を推奨するが、実習生に関しては必ずしも受ける必要はなく、結核の既往歴ならびに過去における結核の定期および接触者健診の結果を健康診断個人票などに記録すれば、結核に対する検査としてはツ反もQFT検査も行わなくてよいということでしょうか。
またP479では<見解:6 > ツ反と結核免疫かつての結核療養所に勤務する職員のうち入職時に未感染の者と既感染の者を比較すると前者(この場合はツ反陰性者を指していた)からの発病が圧倒的に多いことが知られ,これは結核対策の基礎としての初感染発病学説の重要な根拠となった。またBCG接種が導入されてからは,接種により免疫が賦与されると多くの者がツ反陽性になることから,逆に接種後ツ反陰性の者では免疫が賦与されておらず,未感染と同じ状態にあると考えられ,ゆえに接種後ツ反陰性者の結核病棟勤務は危険と考えられた。しかしその後,接種後のツ反は個人レベルでは賦与された免疫の程度と相関しないことが証明されたこと,さらに今の日本の医療職員のように接種後10~15
年以上も経過している場合にはたとえツ反が陽性であってもBCG接種による免疫はあまり期待できずかつQFT は多くの者で陰性であろうというのがおおかたの見解である。
というのはどこの文献を調べれば出てくるのでしょう。探したのですが、なかなか見つからず、参考にしたいので教えていただけないでしょうか。また、ツベルクリンと反応検査とBCG接種の有用性の根拠になる資料をお持ちでしたら、メールかFAXで内容を教えていただけないでしょうか。
最後に、結核のスペシャリストのご意見をお聞かせ願いたいのですが、看護学生で、成人。地域。母性。小児。精神。老年。各領域2Wほどの実習を1年間ほどかけて行う場合、結核対策として、事前にツベルクリンでベースラインを把握して、2回とも陰性の者にはBCGの追加接種は必要でしょうか。 |
回答
お問い合わせありがとうございました。
総論的ご質問への回答
「医療施設内の結核予防対策について」において、医療関係学部学生への結核対策について若干触れてありますが、不十分であったかもしれません。 理想的には、次のような作業が望まれます。
①入学時に全員QFTを実施しておくこと。
②万一陽性者がいれば潜在性結核(LTBI)としてINHにより治療する。
③殆どがQFT陰性(結核感染なし)であろうからこれをベースラインとして記録。(QFTは結核感染の有無を判定するものであり、BCG免疫の有無を見るものではないので、陰性だからと言ってBCG接種をすればこれは考え方自体が誤りである。また、BCGによる効果がなくなっているから追加接種するというのも、後記するように有効であるという証拠がないので問われる可能性あり。)
④これらの学生に毎年QFTを実施し陰性であることを確認して修学環境管理・修学管理が十分できていることを確認。
⑤万一陽性に転換した者がいれば、どこで感染したかを調査し、本人にはINHによるLTBIへの治療を行う。
以上が理想的あり方です。
米国の大学結核対策ガイドラインhttp://www.acha.org/Publications/docs/ACHA_Tuberculosis_Screening_Apr2011.pdf
では、ほぼこれと同等のことが記載されています(実行している所は必ずしも多くはない)。予防委員会でも議論をしましたが、結局、費用対効果、QFT検査の実施状況を考
えると現在では現実的でないということになり、ご覧になった予防委員会報告になった次第です。 現在の日本は罹患率は10万対19ですので世界規模で見ると結核中まん延国と言わざるを得ません。中まん延国での結核対策は、結核患者が発症した時点で接触者を特定し、接触者の感染の有無を検査し、感染していればLTBIの次記に結核治療(INH)を行うというのが基本です。したがって、医療関係学部の学生には、結核という疾患の教育を行い、毎年胸部
X線検査受診を励行させ、咳が長引く場合は必ず医療機関を受診させるよう指導することが大事です。そして、万が一学生に結核患者が発生した場合、実習で学生が結核患者に接触した場合には、保健所からの諸指導(接触者健診)に協力することが肝要です。これらを励行していれば大学が結核対策をおろそかにしていたなどということは
決して指弾されません(将来的には状況が変わる可能性もあります)。万一かようななことがあれば日本結核病学会に意見を求めて下さい。 また、看護学生が実習を行う場合、実習先から二段階ツ反を求められることが今でもあるようです。その場合は予防委員会報告を提示して二段階ツ反は推奨されていないことをお話し下さい。
因みに回答者は千葉大学総合安全衛生管理機構(保健管理センター)に所属して おりますが、本学では2年前から医学部、看護学部、薬学部、教育学部養護教育
課程の学生に対する二段階ツ反を中止しており、陰性者へのBCG追加接種についても7年前に止めています。そのかわり、胸部レントゲン検査未受診、麻疹、風疹、水痘、ムンプスの抗体価検査と陰性者の追加ワクチンが未実施であれば実習をさせていません。時に結核患者への意図せぬ接触がありますが、保健所と協力して接触者健診を行い、感染拡大は防止できています。
各論的ご質問への回答
1.BCGの効果の関する文献 財団法人結核予防会発行「医師・看護職のための結核病学
5.予防 平成20年 改訂版」(青木正和著、1200円)をご覧下さい。BCGの効果や有効期間、問題点などについて約30の文献を引用してわかりやすく記載されています。
2.医療従事者のツベルクリンとQFTについては次記の論文をご覧下さい。QFTの 精度がツ反より明らかに高いことがおわかりいただけます。
これらの論文のみならず引用文献を探っていただけばさらに多くの知見を得ることが出来ると思います。
*吉山崇:院内感染対策における接触者健診とQFT検査のあり方。結核2010;85(7) :601-607
*松本健二ほか:結核集団接触者健診におけるツベルクリン反応とQFTを用いた感染のリスクの検討。結核2010;85(6):547-552
*川辺芳子:クォンティフェロン第二世代の結核対策への応用と課題。結核 2007; 82(1):61-66
(予防委員長 長尾 啓一) |
| ホームページからのQ&A 8 平成23年7月12日 |
質問
今年度から小中学校の結核検診の精密検査(X線、ツ反)とそれに異常があった場合のさらなる精密検査(QFT、CT、喀痰培養)を当院にて担当することとなりました。
前年度までは保健所にてされていました。
院内感染予防対策について3点お伺いしたいことがあり、メールさせていただきました。
(1) 貴学会の「結核の院内感染対策について」では、「咳を誘発させる検査などに際して医療者はガウン、マスク(N95以上)を着用」とありますが、
①咳、痰などの症状のある対象者の診察、X線、ツ反実施時においても実施する医療スタッフはガウン、N95マスクの着用をするべきでしょうか?
②症状がないけれども問診から精密検査が必要と判断された対象者の診察、X線、ツ反実施時にも医療スタッフはガウン、N95マスクの着用は必要でしょうか?
(2) また、「結核が疑われる患者は他の患者と隔離すること」とありますが、精密検査(X線、ツ反)で来院される時に、咳、痰などの症状がない対象者でも他の患者との隔離は必要でしょうか?
(3) X線・ツ反で異常が出て、さらなる精密検査として再診した患者で、咳・痰などの症状がない患者の採血(QFT)・CT実施の際、実施する医療スタッフはガウン・N95マスクを着用すべきでしょうか?
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回答
(1) 貴学会の「結核の院内感染対策について」では、「咳を誘発させる検査などに際して医療者はガウン、マスク(N95以上)を着用」とありますが、①咳、痰などの症状のある対象者の診察、X線、ツ反実施時においても実施する医療スタッフはガウン、N95マスクの着用をするべきでしょうか?
【回答】
「結核の院内感染対策について」の記載についてのご質問です。
学校健診での精密検査という状況を想定して回答します。
まず、ガウン等の予防衣の件です。結核は空気感染であり、ガウンの着用は感染予防には有効ではありません。喀痰などの人の体液で医療従事者の着衣が汚染されないようにすることの意味が大きいです。また、結核を想定して検査した場合でも、結果的に緑膿菌やMRSAといった接触感染で伝播する微生物が分離する可能性もあり、これらの微生物による汚染を予防する効果も得られます。こういった状況は病院を想定しており、児童・生徒を対象とした健診ではまれだと思います。
咳、痰などの症状のある対象者の診察時にN95マスクを着用するか、という件については、私は不要だと思っています。
該当する児童・生徒の接触者(父母、友人)に活動性結核患者が存在して、濃厚接触によって結核に感染し、発病した可能性が高い場合は、N95マスクを着用して診察することを考慮してもいいと思います。しかし、この場合でも児童・生徒にサージカルマスクを着用させる、あるいは咳エチケットを順守するように指導することが第一です。
②症状がないけれども問診から精密検査が必要と判断された対象者の診察、X線、 ツ反実施時にも医療スタッフはガウン、N95マスクの着用は必要でしょうか?
【回答】
咳・痰などの症状がなければ、N95マスクの着用は不要です。
(2) また、「結核が疑われる患者は他の患者と隔離すること」とありますが、精密検査(X線、ツ反)で来院される時に、咳、痰などの症状がない対象者でも他の患者との隔離は必要でしょうか?/p>
【回答】
咳・痰などの症状がなければ、基本的には隔離は不要です。
ただし、白血病などで骨髄移植を行っている患者、免疫抑制剤・ステロイド等を使用している患者等がいるようでしたら、空間を分けるなどの配慮がなされるべきです。
病院は何らかの疾患のある方が多数いる空間です。結核を疑う患者の精密検査を行うにしても、通常の診療時間とは分けて対応される方がよいと考えます。
(3) X線・ツ反で異常が出て、さらなる精密検査として再診した患者で、咳・痰などの症状がない患者の採血>(QFT)・CT実施の際、実施する医療スタッフはガウン・N95マスクを着用すべきでしょうか?
【回答】
結核を疑う程度に応じて、N95マスクの着用を指示することはあり得ます。
しかし、多くの場合は、結核が疑われている児童・生徒にサージカルマスクを着用させ、咳・痰などのしぶきを口元から広がらないようにする対応が実際的だと思います。
CTなどは、結核が疑われる患者と、他の患者(特に、免疫抑制状態の患者)の動線に対する配慮が必要です。待合室での接触を回避する、連続して撮影する場合換気を良くしてから入室していただく、結核が疑われる患者の撮影時間に配慮するなど、運用で解決可能な部分もあります。
(予防委員 猪狩英俊:国立病院機構千葉東病院)
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| ホームページからのQ&A 9 平成23年8月6日 |
質問
INHの投与量について御質問します。
治療委員会の指針をよみますと,INHの投与量は5mg/kgとされていますが,これはLTBIにおいても適応されるものでしょうか?
どうか宜しく御教示下さい。
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回答
学会へのご質問有難うございます。
治療委員会委員長 重藤がお答えいたします。
[INHの投与量は5mg/kgとされていますが,これはLTBIにおいても適応されるものでしょうか?]
発病時の治療においても、LTBI治療においても同じです。
いずれでも 成人の場合 5mg/kg、12歳以下では8-15mg/kg、いずれも一日最大量300mgとしています。
実際には大半の場合錠剤での処方になりますので、「若年者では多めに、高齢者ではやや少なめに」と考えて処方していただくのが実際的です。
LTBIの治療は対象者の大半が若年でしょうから体重当たり5mg以上と考え、たとえば20歳で47kgでしたら体重あたり5mg⇒235mgですが、100mg錠 3錠」としていただくのがよいでしょう。
日本結核病学会治療委員会委員長 重藤えり子 |
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| ホームページからのQ&A 10 平成23年8月15日 |
質問
当院は結核病棟を有しており、結核患者の治療を行っておりますが、INH耐性結核菌が発生いたしました。
症例は53才の男性で、結核の診断で今年7月1日に入院となりました。
10年ほど前に弟さんにINH耐性結核の治療歴があったそうです。
弟さんとは同居されておらず、当時の濃厚接触も認められなかったため、7月4日よりINH+RFP+PZA+EBの4剤内服を順次開始いたしました。
しかし、PZA内服開始直後に皮膚発赤が出現したため、PZA→LVFXへ変更し、INH+RFP+LVFX+EBの4剤治療へ変更いたしました。
その後、臨床症状は改善傾向にありましたが、画像所見の改善を認めず8月10日に判明した薬剤感受性にてINH高度耐性であることがわかりました。
ガイドラインに従い、INHをSMへ変更することといたしましたが、ここで御相談したいことが2点ございます。
1) 通常、1剤のみ変更することは禁忌とされておりますが、この症例の場合INH→SMへの単剤変更は可能でしょうか?
2) 他の結核患者さんへの感染拡大の危険性はいかほどでしょうか。
対応として、当院結核病棟内での個室管理にて十分でしょうか?
それとも、個室ごとに完全に空調を分離している結核病棟を有する施設への転院が必要でしょうか? (当院の結核病棟の空腸は部屋ごとに完全に分離しておりません。排出口は合流しております。)
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回答
1) 1剤の変更が禁忌、というのは、治療失敗しつつあるレジメンで1剤の変更は、1剤の治療と等しいので禁忌ですが、本症例は、RFP+LVFX+EBが有効ですので、菌量はかなり減っており、かつ、今後も、RFP+LVFX+EBも使われるわけですから、問題ありません。
2)院内再感染の危険ですが、確かに、院内再感染の報告はあり、理想的には、耐性の同じでない患者さんは同室にしない、ことが勧められますが、院内再感染の多くは、院内感染を起こした時期に薬のまったく効いていない多剤耐性菌によるものです。INH耐性ですが、本症例は、RFP+LVFX+EBで1ヶ月間で菌が減っていることが予測されます。また、周囲の結核患者もRFP+EB+PZAで治療を受けているわけで、再感染をうけても発病の危険は低いと思われます。よって、今後再感染の感染源となる危険はほとんどなく、転院の必要はないと思います。
治療委員会副委員長 吉山崇 複十字病院
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| ホームページからのQ&A 11 平成23年9月13日 |
質問
今回就学前健診にてBCG接種を行っていない6歳のこどもが「ツ反+BCG」を受けるようにと教育委員会を通して依頼が2件ほどありました。(うち一人は3歳の兄弟も未接種でBCG打ちたいとのことでした。)
現在BCGはツ反を行わず6ヶ月までの乳児のみに接種機会があり、小学生や中学生のBCG再接種は中止となっております。
その根拠としてBCGは乳児期の結核性髄膜炎や粟粒結核の予防効果は高いが、幼児期以降の肺結核の予防効果は高くて50%程度であり副反応の出現率や結核の診断に影響が出るなどメリットは少ないからと解釈しておりました。(間違った理解でしたらご指摘いただけると幸いです。)
小児科のメーリングリストなどでも以前同様の議論があり、小学生のBCGは積極的には勧めていないという論調だったように覚えております。
私個人も感染リスクのない小学生へのBCGは積極的に勧めておらず、3歳になってしまった子も打たなくていいかと考えております。
そもそも感染リスクのない子供に対してBCG未接種を理由にツ反をすることも不要に感じております。
ただこのような感染リスクのない幼児期以降のBCG接種が不要という考え方のはっきりとした根拠を見出すことができませんでした。
よろしければ以下の点につきご教授いただけると幸いに存じます。
1 BCG未接種の児に対して 幼児~学童になってもツ反やBCG接種は必要か?(周囲に感染リスクがないという前提で)年齢区分がある程度決まっているようでしたら教えていただけますでしょうか?
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回答
BCG接種機会をのがしてしまった児童生徒へのワクチン接種への質問と解釈しました。
BCGを生後6カ月までに接種するというのは、乳幼児が結核に感染した場合、結核性髄膜炎や粟粒結核など重篤な結核を発症するリスクを考慮したものです。結核性髄膜炎は4歳までに発症するケースが多いことが報告されています。
BCG未接種のまま就学時期をむかえる幼児に対して、教育委員会からBCG接種を求めてきた理由は分かりません。生後6か月を過ぎてのBCGワクチン接種は任意接種になりますので、法的拘束力はなくなります。
このようなことを考慮して、私が実際にとっている対応です。
ご指摘の事情のケースの場合、保護者には、
1. 生後6か月を過ぎてのBCGワクチン接種は任意接種である。
2. 日本人の小児の結核罹患率は低い。
3. BCGワクチン(東京株)は副作用も少なく、欧米等で使用されているワクチンよりも安全である。
4. 活動性結核患者と接触し、結核菌に曝露した場合、
(1) 結核感染の有無を診断する方法がある。(潜在性結核感染と活動性肺結核の場合と両者を説明します。)
(2) 感染した場合も、治療方法がある。
(3) 多剤耐性結核菌であった場合、BCGワクチンの恩恵がある可能性がある。
ことを説明しています。
BCGワクチンを絶対接種しなければいけないということではありません。副作用や費用を心配する保護者もいると思います。接種しない場合でも、次善策はあります。その上で、BCGワクチンを接種するか否か、選択していただいています。もし希望があるようでしたらツベルクリン反応を実施した上で、BCG接種を行っています。
予防委員会 猪狩英俊
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| ホームページからのQ&A 12 平成23年9月14日 |
質問
48歳男性。中肉中背。基礎疾患はありません。健康診断で右中肺野の浸潤影を指摘され、7月中旬に本院呼吸器内科外来受診されました。自覚症状はありませんでした。
胸部CTでは右中葉S4の部分無気肺と粒状影、左上葉Sl+2背側の粒状影を認めました(空洞病変なし、b‐III‐1)。肺結核の可能性も考え、(喀痰なかったため)胃液の抗酸菌塗抹検査、MAC/Tbc‐PCR検査を施行しましたが、陰性でした。気管支鏡検査も施行し、右中葉と左Bl+2
のブラシ、洗浄を施行。しかし洗浄液の抗酸菌塗抹検査、MAC/Tbc‐PCR検査も陰性でした。その間、3週間程度の期間で陰影の程度に変化なく(悪化も改善もない)、やはり肺結核の可能性があったため、QFT検査施行したところ、陽性の結果でした。
8/10からHRZE(INH300,RFP450,EB750,PZA1.2g)の内服治療を開始しました。その後、肝機能障害などの副作用なく経過しました。
9/2から蕁麻疹が出現し、救急外来受診。抗結核薬の副作用が疑われ、HRZEすべて中止し、抗ヒスタミン薬が開始されました(採血検査では軽度の好酸球増加を認めましたが、肝機能は正常でした)。
9/5に、気管支洗浄液のMIGT法培養で陽性→全剤感性の結核菌が培養されたと報告あり。やはり、結核であることが判明しました。
9/6の外来受診時には蕁麻疹は軽快していたため、(他のアレルゲンが原因の可能性を考え)HRZEを再開しました。しかし、再び尋麻疹が出現し9/9から再度HRZE中止されました。INH,RFP,EBのDLST提出し、結果待ちの状態です。
薬疹の原因として、やはりINHもしくはRFPを疑っております。
今後はDLSTの結果を待たずに、PZA1.2gとEB750mgはfull doseで再開し、INHから減感作療法を開始し、その後にRFPの減感作療法を行う予定です。
もし薬疹がなければ標準療法である2HRZE+4HR(E)を行う予定でした。
質問です。
①PZAやEBも薬疹の原因と考え、減感作療法の適応となりますでしょうか(もし減感作するのであれば、その方法をご教授ください)。
②減感作療法がうまくいった場合、INH,RFPの両薬剤が減感作終了するのに30日程度かかります。8/10‐9/9までに既に1ヵ月間HRZEが投与され、また減感作中にもPZAと
EBは 投与さ れています。つまり合計としては減感作終了時点でPZA,EBは2ヵ月投与されていることになります。その後の薬剤内服スケジュールはどのようにしたらよろしいでしょうか。
※8/10‐9/9の1ヵ月はHRZE内服されているので、(減感作療法中は旧数にカウントせず)減感作終了から1ヵ月間HRZE内服し(合計2HRZEとし)、その後からHR(E)を4ヵ月行うべき?
それとも減感作療法中もPZA内服期間に入れ、減感作療法終了後からはHR(E)のみ4ヵ月行うべき?
もっと投薬期間を長くするべき?
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回答
PZA/EBも薬疹の原因となることは多々あります。
また、通常は薬疹の原因は1剤なのですが、感作されやすくなるといろいろな薬に反応が出ることもあります。
アレルギーの時は、アレルギーが完全に落ち着いて(発疹が完全に消滅し)から再開することをお勧めします。(発疹が消滅してから減感作までの期間が長いほうが減感作に成功し易い、との報告があります)。
PZAの感受性検査は液体培地でないとできないので、ウェルパック培地では不可で、MGITなどの培地で行なわなければなりませんが、INH,RFP,SM,EB,LVFX感受性ですと、PZAもおそらく感受性です。その場合、2HRZ4HR、2HRE7HR、6REZ3RE、12RELなどでも治癒します(結核病学会治療委員会の勧告より薬の種類が少なく見えるかもしれませんが、とまつ陰性程度の菌の量が少ない結核でしたら、米国CDCのガイドラインを参考にしますとこの程度の薬で十分と思います)。つまり、INHなし、EBなし、PZA、INH+PZAなしいずれでも治癒します。また、EBはLVFXで代替可能です。(2HRE7HRのかわりに2HRL7HR、6RZE3REのかわりに6RZL3RLも可能。つまり、INH+EBなし、PZA+EBなしでも治癒する)。いずれも、すでに1ヶ月治療がなされていますので、1ヶ月治療を短くし、1HRZ4HR,
1HRE7HR, 5REZ3RE, 1HRL7HR, 5RZL3RL, 11RELでよいです。一方、RFPがないと、1970年代にRFPが登場する以前の治療となりますので、通常18ヶ月の治療となり再発の危険も高くなります。よって、RFPがアレルギーの原因であったらはぜひとも減感作が必要となります。
米国CDCの考え方では、アレルギーの時は、重要な薬から再開しています。RFP→INH→PZA。その場合アレルギーの原因でありうる薬については、まずチャレンジ(1日目1/40、2日目1/4、3日目通常量)してみて、アレルギーが起こったらその薬を避けて、他の薬から再開し、あとで、減感作する、としてください。
再開、あるいは減感作の間に時間がかかると耐性化の危険があります。本例は、菌の量が少なく、かつ、感受性菌にたいする1ヶ月標準治療がなされておりますので、耐性化の危険はきわめて低い、といえましょう。
しかし、耐性化の危険を一番減らすためには、アレルギーの原因となることの多くない未使用感受性の薬を併用しつつ、薬を再開し他方がよいと考えます。筆者は、腎臓と聴力に問題なければ、LVFX経口+KM筋肉注射を併用しつつ(KMよりSMはアレルギーを起こしやすいので避ける)、RFPチャレンジ、OKなら、INHチャレンジ、OKならPZAチャレンジ、としています。RFPチャレンジOK、INHチャレンジOKで、PZA不可、あるいは、RFPチャレンジOK、INH不可、PZA
OK、あるいは、RFPチャレンジOK、INH不可、PZA不可、EB OKなどの場合は、上記いずれかのレジメンが使えますので大丈夫でしょう。RFPでアレルギーが出る場合は、INH,PZA,EBを順次チャレンジし、3剤使える状態としてから、RFPを減感作すれば、耐性化することはめったにありません。
が、筆者は、どの薬でもアレルギーが出現し、腎障害肝障害もあるなど、薬に非常に難渋している例を現在何例も抱えており、減感作で必ずしもうまくいくとも限りません。10mgからの減感作で失敗した場合は、完全に落ち着いてから1mgから3日ずつあげていくなど、ゆっくり行なうとうまくいくこともあります。再度問題がありましたら、ご連絡ください。
治療委員会副委員長 吉山崇 複十字病院 |
| ホームページからのQ&A 13 平成23年11月9日 |
質問
最近、BCG痕のない乳児を続けて診察する機会がありました。いずれも内科医が接種しており、不適切な接種法が原因だったのではないかと考えています。
保護者からBCGの効果はどうか、と聞かれたので、ツベルクリン反応で陽性であることを確認する必要があると答えました。問題は陰性であった場合、再度接種を行う必要についてですが、身近な資料では確認できませんでした。
定期接種であることを考えれば、再接種が望ましいと考えますが、学会の指針、あるいは厚労省の方針などありましたらご教示ください。
よろしくお願いします。 |
回答
BCG接種を適正に行なった場合には、接種後6ヶ月以後には、平均15個以上の針痕が残ります。そしてそのような集団ではBCG接種の結核予防効果(免疫)が期待できます。ツベルクリン反応検査を行うと、この集団のツベルクリン反応は「平均として」強い反応を示すことでもそれがうらづけられます。
ただこのような関係は「集団として見た場合」に認められることで、個人のレベルで見るとかなりばらつきます。同じように接種されたのに、針痕が多く出る子もあれば出ない子もあります。ツベルクリン反応検査をすると、針痕個数の割に反応が弱い個人もあれば、逆に針痕が少なくてもツベルクリン反応が大きい子もあります。
このようなことから、接種後の針痕やツベルクリン反応を個別にみてその個人における免疫を正確に云々することは難しいことになります。あくまでも集団の平均的な傾向を見なければ分かりません。それで、「接種後針痕がない」というケースについても、その子へ接種はの効果が低い可能性は大きいでしょうが、断言はできません。逆も真です。理論的な対応の根拠はないことになります。したがってこのようなケースの相談を受けた場合には「何もしない」とお答えしています。(実際には、相談された保護者に「反応がなくても免疫がついている可能性はありますから――」と言っています。)
しかし、先生の言われるように、同じ医師に接種された子の多くがこのようなケースである場合には、「集団として不十分な接種をされた」のですから、「効果が不十分な接種」となります。本来ならばこの集団には全員に「接種のやり直し」が必要です。しかし法的根拠のないことや、副反応(以前の接種が「弱い接種」であっても、再度の接種では「コッホ現象」によるけっこう強い局所反応が見られます)のこともあり、実際的ではありません。結局やられてしまった子どもたちには申し訳ありませんが、むしろ今後これ以上このような問題を作り出さないように、当の接種医に対する注意や訓練が重要です。保健所や医師会を通してその医師に適切な指導が行われるように相談して頂きたいと思います。
また日頃から接種技術の確保のために、接種技術の評価を1歳半検診などの機会を利用して行うことをお勧めしています。検診時に子どもたちの針痕を数え、これを接種した医師ごとにまとめて平均値を出し、それが15個を越えているか、をみるものです(個々の被接種児にたいして「合否」を出すものではありません)。全国的には市町村や保健所単位でこれを実践しているところも少なくありません。
前理事長 森 亨 結核研究所名誉所長
参考までに同様のご質問に対して回答した既公刊文献を添付します。 BCG_医事新報20100410.pdf |
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| ホームページからのQ&A 14 平成23年11月9日 |
質問
TB患者との接触者健診についてお教えいただけないでしょうか.
保健所には届け出していますが,当院には呼吸器内科の専門医はおりませんので,よろしくお願いいたします.
症例:当院に不明熱で入院していた患者から,結核菌(ガフキー8号)が検出されました.
入院後約1か月間,診断がなされず,結果として接触者は職員96名でした.患者は結核専門病院へ転院しました.
職員接触者に免疫抑制剤内服者なし,糖尿病者なしでした.
全員にQFT検査を行いました:現時点で結果が出ているもの64名(32名は結果待ち中)
陽性者 7名
判定保留 21名
でした.
現時点での当院での対応:
1)QFT陽性者7名について:
症状出現者なし
数年前に結核治療歴1名
CT検査:全例施行,画像異常者なし
Q1)INHの予防投与は行うべきなのでしょうか,全員に投与すべきですか.投与量と期間についてもお教え下さい.(結核治療例以外の職員に投与必要でしょうか)
Q2)今後の経過観察について,お教え下さい.
2か月後にXpか,CTか,QFTも検査ですか.
6か月後,2年後も必要ですか.
2年間で経過観察終了でよいでしょうか.
2)QFT判定保留者21名について:
症状出現者なし
TB患者との接触時間の長い(30分以上)のもの10名にCT検査施行,全員異常所見なし
Q3) QFT判定保留者全員にCT検査が必要でしょうか,Xpだけでもよいでしょう
か.
毎年春の検診時のXpがあれば,胸部レントゲンは必要ないでしょうか.
Q4)2か月後にQFTとXp検査して,変化なければ観察終了してよいでしょうか.
Q5)INHの予防投与は必要ないのでしょうか.どういう場合に投与が必要なのでしょうか.
3)QFT陰性者について:
Q6)今後,咳痰熱などの症状の有無での経過観察でよいでしょうか.
2か月後に検査が必要でしょうか.
以上,お教えいただきたくお願いいたします.
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回答2件
・ご質問の件に回答します。
この件の病院内での事情は分かりました。また、担当者が御苦労されていることも文面から充分理解できる内容です。
ひとつ分からない点は、この件に関して管轄の保健所がどのように関わってきたかということです。
文面からすると、病院独自の判断で動いたのではないかと推察しました。
院内感染は、院内に対しても地域に対しても影響力の大きい出来事です。この内容は他施設にとっても参考になる事例であると思います。
しかし、HPに掲載して対応を公開するのではなく、まず、保健所と協議の上、指導に従って対応されることをお勧めします。
予防委員会 猪狩 英俊:国立病院機構千葉東病院
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・QFT-3Gは、検査の実施方法によっては陽性・判定保留が高く出る場合があります。QFT-3Gは補助検査ですので、職員の接触度合とQFT-3Gの陽性・判定保留結果を総合的に見ていくことが重要です。また、相関が低い場合は、陽性・判定保留者に対し再検査も考慮されても良いと思います。
原田登之:結核研究所 |
経過説明と結果報告
ご教示ありがとうございました.
本症例の経過について,再度,簡単にご説明いたします.
H23.8/2に不明熱,関節リウマチRA,糖尿病のため入院されました.8/9喀痰検査では抗酸菌は陰性でしたので,このため診断が遅れた可能性はあるものと思われます.
なおこの時点で,QFTは検査されていません.経過中,RAに対して免疫抑制剤,ステロイドが投与された後に発熱,咳痰,CRPの増悪,胸部Xp,CTの悪化がみられています.
9/8にQFT検査を行い,9/12にQFT1.28と陽性のため,9/13喀痰の抗酸菌検査を行っています.9/14にガフキー8号と診断され,この検体で9/16結核菌PCR陽性と確認されまし
た.9/14に結核の専門病院へ転院となっています.
同日9/14保健所に連絡し,届け出を行っていますが,「9/30に結核審査会がありこの会議の結果で方針を決め連絡します」とのことでした.
当院では,9/14「臨時の院内感染対策委員会」を開き,TB患者が発生したこと,接触者の健診が必要であることを共通認識するように説明しました.まず患者との接触者リストと接触時間,持病を調査することとしました.この時点で,接触者は約100名と多数に及ぶことが分かり,保健所の指示の前にQFTを測定しようとの結論となりました.
9/20から順次,接触者のQFT検査を行いました.QFTの陽性者が7名(最終的には8名)と多く,また判定保留21名と多数となったため対応に苦慮し,貴学会にお伺いさせていただきました.
9/28に近隣の呼吸器専門医の先生にお伺いできることとなりました.またこの先生は当地域の保健所の結核審査会の委員でもあるとのことで,ご相談の上,対応させていただくこととなっています.
以上,ご報告いたします.
ありがとうございました.
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回答2
詳細な情報提供いただきありがとうございます。
まず、患者さんに対しては、8月上旬入院時の喀痰検査が実施され、陰性であることを確認しています。これはとても大事な情報だと思います。
職員のQFTはQFTを9月中旬に実施しています。タイミング的に結核を発症した患者さんとの接触期間を考慮すると、いわゆるベースラインのQFTに相当することになります。したがって、陽性者はいままでに結核に罹患したことがあるか、
結核患者と接触(職場、家族、友人など)したことがあるか、結核高蔓延国あるいは地域での生活歴・滞在歴があるかなどの聞き取りを行ってください。
該当する患者さんと接触する以前に、既に結核に感染していた可能性が高いと思います。
この病院の定期外健診はこれからが重要になります。保健所は結核患者との最終曝露から2から3ヵ月後を目安にQFTを実施すると思います。
ベースライン陽性者→この患者さんとは関係なく結核に感染していた人
ベースライン陰性者・再検陽性者・判定保留者→この患者さんとの接触で結核に感染した人
ベースライン判定保留者・再検陽性者→この患者さんとの接触で結核に感染した人
と言えそうです。
もちろん上記の分類に当てはまらない人もいると思いますので、結果をみて判断することになると思います。
予防委員会 猪狩 英俊:国立病院機構千葉東病院 |
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| ホームページからのQ&A 15 平成24年1月12日 |
質問
先日当院でカンファレンスが開催され結核死の定義とはという話になりました。2008年の結核年報を拝見しますと正確な定義はされていないということでした。当院では胸部Xpの経過や喀痰Gaffkyの治療効果を認めその結果死亡した症例ではないかということでありました。もし定義など記載された書物などございましたらご教授いただければ幸いに存じます。貴学会のお考えなどをお聞かせいただければ幸いに存じます。
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回答
結核死の定義
WHOでは、原因に関わらず、結核治療中の患者死亡を結核死亡 (TB mortality)と定義をしています(1. WHO Tuberculosis
Programme. Framework for effective tuberculosis control. Geneva, Switzerland:
World Health Organization;1994. WHO document WHO/TB/94. p. 179. 2. An expanded
DOTS framework for effective tuberculosis control. TB Stop International
Journal of Tuberculosis and Lung Disease 6:55, 378-388, IUATLD; 1999, 2002)。この定義では、併存症による死亡や事故による死亡も含まれますので、真の結核死を反映していませんが、癌死や高齢者の死亡など他疾患でも同様に、最終的な死亡原因の特定は困難な事例も多く存在します。これらを鑑み便宜的に決められた定義であると考えられます。
日本の行政における統計集計では、「死亡診断書の死亡の原因記入欄のⅠ (ア〜エのどこか)に結核という病名があった時に死亡原因を結核とする」としています。死亡診断書の記載が結核死の根拠になっており、その判断は現場に任せられているのが実情です。
以上
教育・用語委員長 長谷川好規 名古屋大学大学院
ホームページ委員長 小川賢二 国立病院機構東名古屋病院 |
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| ホームページからのQ&A 16 平成24年1月12日 |
質問
結核を疑われる患者さんを診察した後の一般の診察室はどれくらい換気をすれば良いのでしょうか?
当院は結核やインフルエンザ症例をみるための診察室をもたない地方の小規模病院です。
結核など空気感染する感染症を強く疑う患者さんを診察したり、喀痰検査を行う際には救急室にて対応することにしています。
診察後は屋外に面した扉を一定時間解放して換気した上で次の患者さんを入れることにしているのですが、どれくらいの時間、換気をすれば、次の患者さんを入れることができるのかが質問です。また、何か特別に消毒なども行った方がいいのでしょうか?
答えにくい質問かと思われ、大変申し訳ありませんがご教授頂ければ幸いです。 |
回答
病室や診察室等の感染防止について本学会予防委員会の「院内施設内結核感染予防について」は簡潔に「独立空調、陰圧」などを述べるにとどまっています。この点より具体的に記述しているのが米国CDCの勧告1)です。これによれば、結核の可能性のある患者の診療の場の空気は結核患者を収容する集中治療室に準じるものとし、独立した空調(非循環型)もしくはヘパフィルター経由の排気、単位時間当たり6-12回の交換(これによって46-23分で室内の結核菌の99%が除去されるといいます)、室内陰圧などを要求しています。
以上は近代的なビルを想定した医療施設一般の話ですが、お尋ねのように扉や窓を開放して換気をすること(自然換気)も有意義なこととであり、WHOの文書2)ではその適切な利用を推奨しています。ただし、その効果は場合によってさまざまで、具体的な証拠などはあまりない、としています。これによる空気の清浄度は、風の強さ、窓・扉の大きさ、部屋の広さなどによって変わるでしょうから、一般的にはいえず、常識的に考えていただくほかありません。実際の部屋について衛生工学的な試験ができえればいいでしょうが、それが大変ならば、陰圧を確認するときにおこなわれる線香の煙を用いた実験をして、部屋を開放したときに煙がどの程度残留するかを確認されるなどされてはいかがでしょうか。
部屋の壁や器物の消毒などはまったく必要ありません。激しいくしゃみや咳で明らかに器物や机が汚れたばあいには清拭すれば十分です。
もちろん職員側のN95マスクの適正な装着、患者側のガーゼマスクの使用などは大前提です。
前理事長 森 亨 結核研究所名誉所長 |
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| ホームページからのQ&A 17 平成24年1月13日 |
質問
症例は56歳男性。左肺上葉に空洞を伴う12×10センチ×12センチの巨大な病変があり、右肺上葉にも空洞をともなう5センチ台の病変があります。
平成23年8月下旬に入院し、2HREZ/4HREよていとして治療を始めました。2ヶ月治療したところで排菌が一旦なくなりましたが、その後ずーっとガフキー2号が出続けています。
感受性検査をやり直しましたが、すべてsenstiveでした。死菌の可能性も考えましたが、残念ながら培養陽性となってしまいました。現在はHREの治療をしていますが、画像上は悪化しています。
手術適応も考えて当院呼吸器外科にコンサルト・オましたが、左肺動脈をかんでいるので全摘出になるので厳しいし、経験もあまりないといわれて、けられてしまいました。化学療法で何とかする方法はないものでしょうか。手術がベターならば他施設に紹介します。
申し訳ありませんが、何か良い手立てがあればお教えください。 |
回答
このケースについてお返事します。難治性の両側空洞性肺結核症の治療についてですが、耐性例でなければ排菌が止まる可能性はあります。しかしいずれアスペルギルス等他の感染症で難治になることはかなり可能性が高く、手術適応について検討してみる必要はあるでしょう。このようなケースでは残存肺機能がどの位望めるか、で手術の可否が決まります。肺結核で肺門部まで炎症が及んでいたとしても、下葉に問題が少なければ全摘になることはまれです。左上切→右上切または空切+胸成等の手段が考えられますが、まず画像を見たいと思います。呼吸困難の臨床指標、CT画像、肺機能等のデータを拝見してから判断したいと思いますので、これらのデータをお送りください。
社会保険委員長 中島由槻 国立病院機構東京病院 |
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| ホームページからのQ&A 18 平成24年1月16日 |
質問
症例1
60歳女性、 一部空洞を伴う肺MAC症の診断を2011年8月に行い、その後CAM600mg, RFP450mg, EB750mgによる治療を開始し、12月15日まで行っておりました。治療開始後より、本来HgbA1c
6.0だったものが、12月上旬には11ぐらいとなり、糖尿病科より薬剤性の可能性を踏まえてRFP中止の依頼を受けました。
空洞があるためCAM,EBの2剤治療は耐性を懸念しております。また、本人も治療継続を希望されております。当院にはRBTがなく、さらに日本人の使用実績に乏しいためあまりすすめられないという記載を読みますと、RBTの使用は控えたい状況であります。
RBT抜きで治療するとしたら、どういったものがよろしいでしょうか。
CAM800mgは本人の調子の悪さから600mgとしておりますが、800mgへの引き上げや、SMの併用、もしくはSMとSTFXの併用、RBTがある病院への紹介などいろいろな選択肢がありますが、決めかねております。
症例2
76歳男性、薬剤性間質性肺炎としてステロイド投与中に肺結核を発症し、3剤による治療を計9ヶ月行い、2011年9月終えました。またちょうど同時期頃にステロイドも完全にoffとなった状況です。
お聞きしたいのは、ステロイド投与中であったにも関わらず、治療の延長をしなかったことに対して、今からでも3ヶ月の治療延長をHRでやるべきなのかという内容です。肺の画像の変化があるならば3ヶ月の治療延長を行うべきか、肺の画像が横ばいならそのまま様子みでいいのか等、結論をつけることができないため、
以上、2症例に関して、何卒よろしくお願いいたします。 |
回答
症例1
確かにRFPはその薬物相互作用により糖尿病薬の血中濃度を下げる場合があるので結果的にHbA1c上昇を来したのでしょう.RBTは相互作用はRFPより少ないのでこの場合良い適応と思います.
過去の様々なin vitro実験やAIDS-MACを対象とした無作為対照比較試験を通じてもRFPあるいはRBTなしのCAM, EB2剤のみでの効果は明らかにRFPまたはRBT併用群に比べ劣っています.
従ってRFPの代わりにRBTを投与すべきですが, まだ公式な副作用頻度は明らかになっていませんが, ご指摘の通りRFPよりその頻度や程度は強い傾向があると思われます.あらかじめ副作用が出るかどうかの予測はつきませんし,
副作用が出ない方は全くでません.
結核病学会・呼吸器学会共同の「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解-2008暫定」に沿って75mg/日で開始して経過を見たらどうでしょうか.
なおCAMも600mg/dayより800mg/dayの方が明らかに効果的なので, その方向でご努力して頂いた方がよいと思われます.多くの方は当初
様々な違和感を持ちますが数週間たつと消失するのが普通です.
もし上記で行いやはりRBT副作用で継続困難であればSM併用など考えざるを得ないでしょう.
症例2
もちろん全薬剤感受性の結核菌としてですが, 平成21年2月施行の「結核の医療基準」で副腎皮質ホルモン剤を長期にわたり使用している場合には, 患者の病状および経過を考慮して治療期間を3ヶ月延長できるとあります.
また治療の中断と再開に関しては, それが投与初期なのか維持期なのか, 治療開始時の喀痰塗抹は陽性かどうか, 画像所見の程度で判断しますが, 本例の場合はそれにsteroid投与量の多寡を加えての判断となりますがご質問では最初の項目以外は不明です.
従って確かな返事はできないのですが治療開始時塗抹陰性で予定投与量の80%以上が投与されていれば追加投与は不要と判断して良いでしょう.
非結核性抗酸菌症対策委員会前委員長 倉島篤行 国立病院機構東京病院 |
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| ホームページからのQ&A 19 平成24年2月6日 |
質問
どうぞよろしくお願いたします。20歳中国人男性で、右胸水貯留で受診、入院となりました。QFT陽性、胸水ADA高値より結核性胸膜炎と診断。INH,RFP,EB,PZAで治療を開始し、すぐに解熱しましたが、PZAによると思われる肝障害(GOT,GPT800~)のため、PZAを中止、3剤で治療継続することにしました。休薬し肝障害の改善を待って3剤で再開したのですが、服薬して1週間以内に嘔吐が出現、何とか服薬させようとしても食事もとれない状態のため、食後に服用していただいたり、あるいは3回に分割するなどの方法を行いましたが、同様に数日で嘔吐が出現し、内服困難となってしまいます。上部内視鏡検査も試行し、特に問題はありません。本人も病気のこと、服薬はしないといけない病気であることはよくわかっているようですが、とにかく内服再開数日で嘔吐を繰り返し、服薬困難になっております。もはや消化器症状というよりはアレルギー反応に近いものなのか、とも思っております。これまでの治療でここまで頑固な消化器症状の方がいないので、どのような対応したらよいか困惑しております。減感作療法を試みようと思っております。RFPが原因のような感じなのですが、試みたほうがよい場合減感作の方法、あるいは他の対処法につきご教示いただければ幸いです。肺野病変は認めません。PZA中止後は軽度のGOT上昇はありましたが検査値は安定しております。胸水での培養では結核菌培養されておらず、感受性不明な状態です。 |
回答
抗結核薬は胃壁を攻撃することがあり、特に高齢者ではほとんど食事が取れなくなるような患者さんがいます。そのようなときにはRFPの投与をあきらめますが、ご相談の患者さんは若い方ですので、プリンペラン、ナウゼリンなどの制吐薬などを投与してみてはいかがでしょうか?あるいはマーロックスなどを飲ませてから、内服するなど工夫の余地はあると思います。薬剤アレルギーとは異なると思いますので、減感作は無効と思われます。もしかすると精神的な因子もあるのかもしれません。そのような場合には、抗不安薬などを投与するのも考えられる方法と思います。
最悪の場合には全剤中止しても結核性胸膜炎は自然治癒します。しかしその後肺結核となる割合は高くなりますので、なんとか2剤(INH、RFP)を最低6カ月飲んでいただきたいと思います。
和田雅子 治療委員会 前副委員長 化学療法研究会化学療法研究所付属病院 |
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| ホームページからのQ&A 20 平成24年3月3日 |
質問 塗抹陽性患者が院内で判明した場合の接触者健診につきまして
当院は熊本県南に位置する400床程度の中核病院です。
結核病床はございません。
最近も入院後判明し、他院へ転院となった塗抹陽性結核症例や、気管支鏡検査を施行後、塗抹陽性の結核症例を経験しております。
以前、当院入院中であった結核患者での当該病棟職員および同室者患者に対する接触者健診につきま して、管轄の保健所に電話でお問い合わせ申し上げたところ、まずは当該患者の同居家族に対する接触者健診を行い、必要があれば当該病棟職員と同室患者に対する健診を追加いたします、とのご回答でした。
そこで、まず1点目の質問です。
この場合、「感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き(第4版)」などにもございますように、曝露直後のQFT採血が必要な場合もあり、保健所のご回答のような方法ではかなりの対応の遅れが生じる場合があること、さらに、本来必要であった当該病棟職員と同室患者の接触者健診自体が見過ごされるおそれがあること(同室患者の方々は場合によっては退
院などにより消息が不明となる可能性もあります)、などから、この対応手順が正しいのか、私は疑問を持っております。
まずはこの件につきまして貴学会のご意見を伺いたく存じます。
次に2点目の質問です。
院内で発見された(すでに他疾患などで入院中の方や気管支鏡検査後など)塗抹陽性の結核症例における当該病棟あるいは部署の職員および同室患者に対する接触者健診の費用負担についてです。
「感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き(第4版)」にもございますように、潜在性結核感染症発見のためのQFT採血が推奨されるようになっており、当院でも積極的に行っております。
しかし保健所(つまり行政)が費用負担するのか、当該医療機関が費用負担するのかが明確でなく、実際には医療機関が負担することが多い(当院ではそうなっているのが実情です)ように思います。
検査費用負担を誰がするのか、法的根拠やそれに準じるものなどにつきまして、貴学会のお考えを伺えればと思います。
以上2点につきまして何卒ご高配のほど宜しくお願い申し上げます。 |
回答
院内感染対策については日本結核病学会は「予防委員会」が一昨年、医療職員の結核予防に関して声明を出しておりますが、とくに今回先生がお訪ねになっている問題に対応したものではありませんので、以下は委員会声明の考え方を踏まえた上での私の個人的見解としてご理解ください。
まず大前提ですが、「接触者健診の手引き」にありますように、感染症法の規定により接触者への対応は保健所の業務です。したがって病院は保健所の指示に基づいて(実際には協議、協調してということでしょうが)、協力をしていただくことになります。もちろん経費は保健所負担となります。ただし実際的には保健所の予算の制約や、操作性の都合上、一部を医療機関に負担していただく、あるいは医療機関が自発的に行なった健診等の成績を保健所が利用させていただく、という場合もあるようです。
その上でご質問の1番目ですが、初発患者が塗抹陽性の場合、その患者を診療した医療職員がすべて常に濃厚接触者として最優先の扱いを受けるべきか、というとそれはそうではないと思います。問題は「不用意に」接触した場合、ということになります。結核を疑わないで近接のケア(看護、診療)をした、気管支鏡やネブライザーを用いた、という場合は優先度は家族と同様になると思います。当然そうした接触期間が長ければ直後の健診も考慮する必要があります。また接触した職員のベースラインの感染状態(QFTやツベルクリン反応など)が分かっていたい場合には直後の検査成績はベースラインとしての意味もあります。
経費負担については原則は上記の通りです。検査内容については考慮の余地はありますが、接触者が高齢者ばかりでない限り、やはりQFTは適応となることが多いと思います。
基本的な考え方は以上の通りです。お役に立てば幸いです。
前理事長 森 亨 結核研究所名誉所長 |
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| ホームページからのQ&A 21 平成24年3月9日 |
質問
結核診断の為の検査方法についてご質問させていただきたく、メールをお送りしています。
管内医療機関から、「結核診断のための検査として、検査機関からLAMP法を勧められているが、この検査で陽性であった場合、結核と診断してよいのか。」と相談を受けています。
結核の診断根拠として、LAMP法陽性のみでも有効と考えてよいのか。
結核病学会様のご見解を、教えていただけないでしょうか。
※2010年12月20日 厚生労働省健康局結核感染症課、第22回感染症分科会結核部会議事録によると、結核研究所の加藤先生が、委員としてLAMP法について
「結核菌を検出する方法で、これは日本の栄研化学という会社が開発した方法で、この核酸精製技術、つまり、喀痰の中から夾雑物、すなわちいらないものを取り除いて、核酸を抽出する方法、PURE法と書いていますけれども、これとLAMPという検出方法を併せた、非常に結核菌の検出が容易になった簡易検出キットであります。従来、PCR、TRCという方法がありますけれども、これに比べても感度、特異度とも差がない。従来より、非常に簡易な方法で、なおかつ精度が非常にいい特性を持っていることがこれまでの研究でわかっています。」と発言されていますので、有効な検査方法だろうと考えられますが、結核届出の診断基準にはLAMP法が明記されていないため、新しい検査方法でもあり、ご専門のお立場からのご見解を伺い、参考にさせていただきたいと思います。
ご多忙中恐れ入ります。どうぞ、よろしくお願いいたします。 |
回答
LAMP法は、PCRと並ぶ結核菌遺伝子診断法で、保険適用されており、これが陽性ならば、検体(痰・尿)中の菌が陽性としてよい。
保健所への届けの根拠になるが、旧来の培養検査で確認が必要。
PCRとの比較で、すぐれているかどうか、については、疑問があるが、学会としても、 PCR と並ぶ 菌検出方法のひとつと判断す。しかし、基準検査(ゴールドスタンダード)は旧来の培養検査と生化学的検査による結核菌同定検査です。
坂谷光則 NHO近畿中央胸部疾患センター名誉院長 前非結核性抗酸菌症対策委員長 |
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| ホームページからのQ&A 22 平成24年3月13日 |
質問
1歳男児で8月にBCGを接種し、7カ月後に同側のえき下リンパ節が2.5センチ大(2個)に腫れているとのことで受診しました。
発熱は気付く1週間前に1日ありましたがそれ以外はなく生来健康で元気です。
ペット飼育や祖父祖母との同居なく風邪も引いていないことからBCG感染症を疑っております。
接種後にリンパ節が腫れても6カ月で消失するとありますが、6カ月以降もあるときは生検して調べた方がいいのでしょうか?
それとも、BCGと判断して生検せずに3センチ以上になったのを見計らってINHを内服(何週間?)させた方がいいのでしょうか?
ご教授お願いいたします。 |
回答
典型的なBCGリンパ節炎は接種後1ヶ月頃に発生することが多く、先生の言われるようにその後3~6ヶ月で自然に消退します。
この方は接種後7ヶ月に発症(というより気づいたということかもしれません)という点でBCGによるものとしてはまれなケースです。考えられるとすれば、治まっていたBCGリンパ節炎に何らかの理由で混合感染が重なり、腫大した、ということなのかもしれません。これは結核性のリンパ節炎などではよく見られます。この場合には化膿性の変化が多いので、皮膚の発赤、腫瘤の波動などが見られることがあります。また接種局所の状態は如何でしょうか。接種後7ヶ月ならば瘢痕化しているはずですが、リンパ節の変化に伴って再度化膿性の変化が来たということはないでしょうか。もしそうであればますますBCG起因の確率があがります。
逆に時期とともに、腫大が2個というのは少し「BCGらしくない」点です。BCGでも複数の腫大、複数箇所の病変はありますが、まれです。
以上のような点をチェックして頂き、BCG由来を支持する所見がなければ、生検をお勧めします。リンパ腫などとの鑑別のためです。なお、BCGリンパ節の場合生検で組織や膿が得られてもBCG菌が分離できないことがしばしばありますので、組織像を見ることが必要です。
なお、BCG起因であってもINHなどの化学療法は不要です。
以上ですがいかがでしょうか。他に何かありましたらご遠慮なくお尋ね下さい。
前理事長 森 亨 結核研究所名誉所長 |
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| ホームページからのQ&A 23 平成24年3月25日 |
質問
抗結核薬に伴う白血球減少時の対応をお教え下さい。おそらく、RFPに伴う副反応かと思われますが、中止基準や再投与の基準はありますでしょうか?投与量を減らしての投与も可能でしょうか?
結核に対する治療時と、MACに対する治療時に分けて、御教唆頂ければ幸いです。 |
回答
白血球減少に伴う中止基準はありません。白血球減少で怖いのは無顆粒球症で、関係文献としては、
宍戸雄一郎他
抗結核薬による無顆粒球症の検討 : 4症例の提示と文献的考察
結核 78(11), 683-689, 2003-11-15
があります。頻度は0.06%程度の様です。
私自身は、好中球500以下までは投与(1000以下で頻繁に採血)としていますが、これまで白血球減少で中止した例はありません。白血球減少自体はよく見られます。その頻度についての文献としては、
長山直弘他
INH, RFPを含む結核化学療法による白血球減少症の検討
結核 79(5), 341-348, 2004-05-15
長山先生の指摘のごとく女性に多く、よって、非結核性抗酸菌症ででは白血球数2000程度はよく見ます。
吉山崇
結核病学会治療委員会副委員長
結核研究所、複十字病院 |
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| ホームページからのQ&A 24 平成24年3月29日 |
質問
先日、当院入院中の患者の喀痰からガフキー6号、TB-PCR陽性となり、活動性肺結核加療目的に他院へ転院となりました。
結核感染が判明するまで約1週間が経過しておりましたが、その間に病棟で勤務していた看護師についての御相談です。
現在妊娠17週(患者対応時15週)、通常のシフト業務としての患者対応ならびにリーダー業務についておりました。病棟としてその患者に対して感染管理対応はしておらず、標準予防策の範囲内でPPEを使用していたと判断しています。
今後、保健所と協議しながら接触者検診などが始まるものと思われますが、
1. 結核感染の可能性は妊娠していない者と比べて高いと言えるでしょうか。
また、妊娠中の者が結核に感染した際、注意すべき合併症(母体・胎児)としてどのようなものがあるでしょうか。
2. 接触者検診リストから漏れてしまった場合、独自にQFTや胸部X線をやっておくべきでしょうか。また、その時期についてはいかがでしょうか。
3. 抗結核薬の予防内服を考慮すべきでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、御教授いただければ幸いに存じます。 |
回答
御質問にお答えいたします。
1.妊婦は結核に感染しやすいかですが、感染しやすいということはないと思います。
感染による妊婦、胎児に与える影響についてはわかりません。
2.接触者リストから漏れるということは考えにくいのですが、そのようなことがあれば、QFTは、最後の接触があってから概ね2カ月後で良いのではないでしょうか。
3.欧米の文献では、妊婦がHIVに感染している、またはリスク行動がある場合にはツ反5mm以上の硬結があれば、ただちに予防投薬をするように勧めていますが、それ以外は分娩後2~3カ月に開始するように勧めています。
和田雅子 治療委員会 前副委員長
財団法人化学療法研究会 化学療法研究所附属病院 |
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| ホームページからのQ&A 25 平成24年4月14日 |
質問
本日、平成18年5月発行の日本結核病学会予防委員会による今後のツベルクリン反応検査の暫定的技術的基準を読ませていただきました。
本院では医療従事者雇い入れ検診のツベルクリン反応検査は従来法の発赤長径48時間後測定10mm以上陽性、以降中等度および強陽性一段階法で判定していましたが、暫定的基準とは相違いたしております。
現在の医療従事者雇い入れにおけるツベルクリン反応検査の標準的な検査法および判定基準についてご教示いただければ幸いです。 |
回答
平成22 年3 月に日本結核病学会予防委員会から「医療施設内結核感染対策について」という委員会報告がでました。
その抜粋ですが、「( 1 )健康診断 1)QFT 検査の追加」という項目には、
「雇入れ時の健康診断に際しては法令に定められた検査項目のほか,QFT 検査の実施を推奨する。特に結核患者と常時接触する職場(結核病棟など)で強く勧められる。その他,結核感染の危険度の高い部署においても同様とする。ただし,結核治療歴がある等結核感染の明らかな者は対象としない。」
そして
「雇入れ時のツ反検査は推奨しない。」
と記載が続きます。
検査に要する費用の問題もありますので、全ての医療機関で雇い入れ時にQFTを実施するのは困難です。結核患者を比較的多く診断している病院では実施することが望ましいと思いますし、そうでない病院までに広げることは無理があります。
平成18年5月「今後のツベルクリン反応検査の暫定的技術的基準」では複雑な基準が示されています。これは陽性陰性の判定とは別に考えてください。
ツベルクリン反応で強反応(陽性の中でも強い反応、言葉の定義はありません。)を示した者の中には、「潜在性結核感染者あるいは活動性結核発症者がいるであろう」ということを想定し、次の対応を要する者を選択する基準ともいえます。
現実には発赤30mm以上あるいは40mm以上の医療従事者はめずらしくないと思われます。日本ではBCG既接種者が90%から95%になると推計されます(新採用職員となる20歳代を想定)。現場の対応も混乱することになります。このような事情を考慮し、平成22
年3 月の委員会報告では「雇入れ時のツ反検査は推奨しない。」という文言になりました。
そちらの病院でもツベルクリン反応を継続するかどうか、改めてご検討いただくことになると思います。
予防委員会副委員長 猪狩英俊 NHO千葉東病院 呼吸器センター長 |
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| ホームページからのQ&A 26 平成24年4月26日 |
質問
抗結核薬による重症肝障害の「重症」の定義についてお聞きします。
薬剤性肝障害の場合、細胞障害型と胆汁うっ滞型、混合型があると思います。
細胞障害型の場合「重症」はASTまたはALT>1,000IU/l以上と明確に定義されておりますが胆汁うっ滞型の肝障害の場合「重症」とはT-bil値がいくつ以上で重症と考えていい
のでしょうか。
『結核 Vol 82, No5 467-473 2007 抗結核薬による重症肝障害』では血清AST、ALT1000IU/l以上、総ビリルビン値が2㎎/dl以上となった例を「重症」と定義していますが胆汁うっ滞型の肝障害の場合は総ビリルビン値が2㎎/dl以上で重症と考えていいのでしょうか。
抗結核薬の中止基準が総ビリルビン値2㎎/dl以上とされているため、「中止基準値=重症」となることに違和感を持ち確認のためメールいたしました。 |
回答
ご指摘いただきました論文内にもありますように、「重症」とする一般的に合意された定義がないことが一つあります。
また、調査を行う上では、できるだけ広い範囲の症例を集めたいが、協力を得やすくするために条件を絞り込むことも必要です。総ビリルビン値につきましては、調査において症例掘り起こしの目安とするために設定したものです。結核治療においてビリルビン上昇はあまり多くないことも考慮しており、実際に重症であるかどうかということとは当初からずれがありました。
結果としては、抗結核剤使用時の肝障害(肝細胞型も胆汁うっ滞型も)については総ビリルビン値5mg/dl未満の場合には死亡例はなかった、5mg/dl以上は重症とみなされるという結果が得られたことになります。
論文中にこのことわりがなかったことについては誤解を招くおそれがあり不備であったと考え、お詫び申し上げます。
治療委員会委員長 重藤えり子 国立病院機構東広島医療センター |
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| ホームページからのQ&A 26 平成24年4月26日 |
質問
高齢者のQFT検査につきお尋ねいたします。
高齢者の肺炎で画像上結核が疑われる場合、QFTを施行し、陰性だった場合、結核感染は、否定的と考えてよろしいでしょうか。
それとも、結核感染でも陰性に出る場合があるでしょうか。ある場合どのような状況が考えられるかご教示いただければ幸いです。 |
回答
ご質問に対して回答申し上げます。
高齢者肺炎で、結核が疑われる患者さんがQFT陰性であった場合、結核を除外することが妥当か否か、が質問の主旨になります。
クォンティフェロンTBゴールド(QFT)は、活動性結核の診断補助と潜在結核の診断補助を目的として使用されます。感度:93.7%、特異度:98.8%という検査性能が日本ビーシージー製造株式会社のHPに記載されています。
この文言の意味をかみ砕くことになります。
感度93.7%です。活動性結核の人にQFTを実施した場合、おおよそ16人に1人は陰性になるということになります。この症例の場合は、加齢や基礎疾患による免疫応答の低下・低栄養等も充分考慮することが求められると思います。
註:QFTの臨床試験は世界中のいろいろな環境下で実施されています。発展途上国で実施された試験では、感度が低い結果になっています。栄養状態などがその理由としてあげられています。その一方で、QFTはHIV/AIDS患者でも利用されています。CD4が50を下回ると診断成績が劣ります。しかし、その前段階では一定の診断成績が示されています。
QFTは活動性結核の診断補助として使用します。この患者さんの場合、①結核既往、②結核患者との接触、③基礎疾患、④ステロイドなど免疫に影響する薬の使用、⑤胸部X線写真などの画像所見、⑥喀痰検査など細菌検査、等をご考慮してください。
この患者さんが結核であった場合、院内感染によって医療従事者や他の患者へもたらす影響も看過できなくなります。QFT陰性であっても、上記のことや他の臨床所見も考慮して、活動性結核の判断が求められると考えます。
予防委員会副委員長 猪狩英俊 NHO千葉東病院 呼吸器センター長 |
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