結核症の活動性分類は、IUATの疫学小委員会の提案(1957)1)などを基礎に、わが国においては岡病型との関係(1958)2)、学研分類との関係(1959)3)についての浅羽の研究があり、労働結核研究協議会を中心とした検討結果は、第3回日本胸部疾患学会(1963)4)において千葉が「結核症の活動性分類」として特別講演をおこなっている。これらの知見をもとに第2回結核実態全国調査(1958)に採用された後、行政的にもとりあげられ厚生省公衆衛生局長よりの通知「結核予防法による登録及び管理検診実施要領について」(昭和36年12月13日衛発第984号)で登録時の病状などをビジブル・カードに記入する際こは活動性分類5)によるよう求めており、今日まで各種統計に利用されてきた。
しかし、その後アメリカにおいてはNTA分類はしぱしぱ改定が試みられており、わが国においても結核蔓延状況の改善に伴い現行の活動性分類の変更を求められている。
表1 結核活動性分類(厚生省通知より:1961) 活動性肺結核 活動性感染性(a.広汎空洞型、 b.その他の病型) 活動性非感染性 活動性肺外結核 不活動性結核 活動性未定 治癒
現行の分類では活動性すなわち医療の要否という臨床的な目的と、感染性という公衆衛生的な目的の両面を持つとともに、「結核症の全体像をみるため」ということでエックス線所見のみならず結核菌検査所見ならびに臨床所見が相互の整合性が十分に吟味されないままにとりいれられ総合的に判断されることとなっている。しかし、「感染性」である育空洞例の中に菌陰性空洞が含まれたり、菌が陽性であっても気管支鏡検査による塗抹陽性は必ずしも感染性とは考えがたいなどが現在の混舌の一部である。そこで当委員会は、現在の結核状況を反映する区分に改めるため協議を重ねてきたが、現行の分類の普及状況を考えたとき基本的統計の連続性ならびに現場の混乱を避けるため実務上の最低限の要請に応えるにとどめることとした。関係各機関の配慮を願うものである。結核菌検査は以前にもまして重要性が高いと考えられるので検査の精度管理を図るなどの施策の充実を併せて要望するものである。
この分類は、結核患者の登録(発見・冶療開始)時の病状がその後の管理に関し最も重要な指標であることを前提として作成した。したがって、適正医療(治療方法の選択)、感染防止対策(定期外健康診断の要否)、登録より削除する基準などについては別に定めるべきものと考える。
記
1.結核症を活動性肺結核、活動性肺外結核、性結核、初感染結核(いわゆる「マル初」)に区分する。
2.活動性肺結核は、登録(発病、発見、治療開始時の菌検査の成績により、喀痰結核菌塗抹陽性、その他の結核菌陽性、非定型抗酸菌陽性、菌陰性・その他に区分する。
3.既往の医療の状況より、初回治療、再治療を付記する。
参 考 ![]()
留意事項
1.「活動性結核」:臨床所見、エックス線所見、細菌学的所見などから総合的に検討して化学療法を必要と認められるものをいう。
エックス線所見は過去の写真と比較読影により診断することが望ましい。細菌学的所見で菌陽性例は原則的に活動性とするが偽陽性に留意の上判定する。
2.「不活動性結核」:活動性「未定」もしくは「疑い」を含む。
3.「初感染結核」:化学予防の対象となるものであって、本来の初感染結核と区別するため「結核初感染」などと呼称を変更すること。
4.臨床所見ならびにエックス線所見より結核症が強く疑われるとき、菌陰性であることにより結核症の診断が遅れぬよう留意すること。
また菌検査(ことに塗抹検査)の精度管理の状況を十分把握する必要がある。
5.「その他の結核菌陽性」:喀痰塗抹陰性で培養またはそれに準ずる方法による陽性例、ならびに喀痰以外の検体による菌陽性例を含むが、気管支内視鏡などによる検査の取り扱いに関しては本委員会の報告6)を参照すること。
6.「非定型抗酸菌陽性」:国療非定型抗酸菌症共同研究班などの診断基準を参考にして治療を要すると判断される患者について非定型抗酸菌の排菌状況により区分する。
臨床的に意味のないと思われる排菌は非定型抗酸菌陽性として区分しない。非定型抗酸菌症は患者登録時は活動性肺結核とされることが多いが、非定型抗酸菌症と判明したときは新たな区分を設け別掲とするのが適当である。
7.「菌陰性・その他」:その他には菌検査の結果が判明していないものを含む。
8.「冶癒」もしくは「なし」は結核症ではないので区分は設けない。
文 献
1)IUAT疫学小委員会:活動性による患者の分類法.「結核診断の実際」、第1巻、第一製薬、東京、1972.41-42.
2)浅羽 陽:肺結核の活動性分類について、第一報、岡病型と活動性分類、結核.1958; 33: 774-778.
3)浅羽 陽:肺結核の活動性分類について、第二報、学研分類と活動性分類、結核.1959; 34: 15-19.
4)千葉保之:肺結核の活動性分類、日本胸部疾患学会雑誌.1964; 2: 1-5.
5)日本結核病学会:結核用語事典、結核予防会.東京.1992, 195.
6)日本結核病学会予防委員会:気管支内視鏡検査による排菌例の扱いについて、結核.1994; 69: 535-536.
| 委員長 | 志村 昭光 |
| 委 員 |
荒川 正昭、 五十里 明、 石橋 凡雄、 大島 駿作、 鎌田 達、 久世 彰彦、 佐藤 博、 森 亨、 柳川 洋 |
(出典:結核.Vol.70, No.8 ; 491-492. 1995)
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