抗酸菌検査の精度管理(4)
-検査センタ−を対象とした結核菌薬剤感受性試験の外部精度アセスメント-

  平成17年11月 

日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会
 当委員会では抗酸菌検査の精度に関する研究を2001年度より実施しており,2004年度は検査センターおよび一般検査室に対象を拡大して結核菌薬剤感受性試験の外部精度アセスメントを実施した。
 結核菌薬剤感受性試験を実施している検査センター23施設および一般検査室25施設について,耐性既知の結核菌10組20株(WHO/IUATLD Supra-National Reference Laboratory Network : SRLNで標準化された菌株)を送付し,各施設が通常実施している方法で薬剤感受性試験を実施し,結果を標準判定と比較した。結果については「感度」「特異度」「一致率」および「再現性」を計算し評価した。感度とは,SRLNで耐性と判定した株を正しく耐性と判定する割合であり,特異度とは同様にSRLNで感受性とした株を正しく感受性と判定する割合である。一致率はSRLNとの判定の一致の割合であり,再現性は各菌株ペアにおける判定結果の一致率を示す。
 今回の結果を表に示す。今回参加した検査センターおよび一般検査室での感受性試験のパフォーマンスは総体的・平均的には十分であった。しかしながら,検査センターではisoniazidについて全施設で感度・特異度・一致率・再現性のすべてについて100%であったのに対し,一般検査室では感度90%以下の施設が2施設(8%)認められた。同様にrifampicinに関しては感度が90%を下回る施設が検査センターで1施設(4.3%),一般検査室で3施設(12%)認められている。施設種別での差異はethambutolで最も大きく,検査センターでは感度・特異度ともに90%を下回る施設はなかったが,一般検査室では感度90%以下の施設が1施設(4%),特異度90%以下の施設が3施設(12%)あり,特に再現性は6施設(24%)が90%以下であった。streptomycinに関しては検査センター,一般検査室ともに感度90%以下の施設が50%以上に認められたが,これは今回使用した耐性菌株のうち2株を感受性と判定した施設が多かったことによる。同様の傾向は2003年度のパネルテストでも認められており,菌株固有の性質や試験濃度,培地の違い等が関連しているものと考えられた。結果を総合すると,一般検査室間の検査結果のばらつきは検査センターに比べて大きく,さらに同じ範囲内であっても一般検査室の成績は検査センターに比べて低い傾向にあった。各施設の結果については解析のうえ各々の施設に返送しており,データの詳細については別途論文として発表する。

表 結核菌薬剤感受性試験パネルテスト平均結果
施設 薬剤

感度(%)

特異度(%)
一致率(%) 再現性(%)
一般検査室 INH 100.0 98.0 (62.5-100) 99.2 (85-100) 99.2 (90-100)
(n=25) RFP 97.0 (83.3-100) 100.0 98.2 (90-100) 98.8 (90-100)
SM 88.3 (66.7-100) 98.0 (87.5-100) 92.2 (80-100) 96.4 (70-100)
EB 99.0 (75-100) 96.3 (75-100) 97.4 (85-100) 96.4 (70-100)
検査センタ− INH 100.0 100.0 100.0 100.0
(n=23) RFP 98.6 100.0 99.1 (90-100) 99.1 (90-100)
SM 86.6 100.0 92.0 (80-100) 98.7 (90-100)
EB 100.0 99.6 (91.7-100) 99.8 (95-100) 99.6 (90-100)
isoniazid(INH), rifampicin(RFP), streptomycin(SM), ethambutol(EB)


日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会
委員長 嶋 哲也   
副委員長 小栗 豊子
委員 一山   智 小川 賢二 鎌田 有珠 古賀 宏延
塩谷 隆信 竹山 博泰 御手洗 聡 和田 光一
斎藤   肇 冨岡 治明 土井 教生 長沢 光章
協力 阿部千代治

(出典:結核.Vol.81,No.1:25-26.2006)

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日本結核病学会事務局
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