抗酸菌検査の精度管理(3)

−検査センタ−を対象とした結核菌薬剤感受性試験の外部精度アセスメント−

  平成 16 年 12 月 

日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会
 当委員会では抗酸菌検査の精度管理に関する研究を2001年度より実施しており,2003年度は検査センターを対象として薬剤感受性試験の外部精度アセスメントを実施した。
 毎月平均20件以上の薬剤感受性試験を実施している23施設について,耐性既知の結核菌10組20株(WHO/IUATLD Stop TB subgroupであるSupra-National Laboratory Network: SRLNで標準化された菌株)を送付し,各施設が通常実施している方法で薬剤感受性試験を行い,結果を標準判定と比較した。結果については「感度」,「特異度」,「耐性的中率」,「感受性的中率」,「一致率」および「再現性」を計算し評価した。感度とは,SRLNで耐性と判定した株を正しく耐性と判定する割合であり,特異度とは同様にSRLNで感受性とした株を正しく感受性と判定する割合である。耐性的中率とはある菌株を「耐性」と判定した時,その判定が正解である確率であり,同様に感受性的中率とはある菌株を「感受性」とした時の正解率である。一致率はSRLNとの判定の一致の割合であり,再現性は各菌株ペアにおける判定結果の一致率を示す。
 今回の結果を表に示す。全施設の結果を平均すると,INHでは感度が95%(29〜100),特異度が100%,一致率が97%(50〜100)であった。またRFPでは感度が95%(63〜100),特異度が99%(67〜100),一致率が97%(70〜100)であった。SMでは感度66%(33〜100),特異度94%(64〜100)で,感度が低く,EBでは感度96%(33〜100),特異度74%(57〜86)で,特異度が低かった。SMでは耐性菌を感受性と判定している例が多く,EBでは逆に感受性株を多く耐性と判定していた。各施設の結果については解析の上各々の施設に返送した。
 WHO/IUATLDでは基本的にINH及びRFPに対して感度,特異度,再現性を95%以上に保つことを基本とし,主要4剤について一致率90%以上を目標としている。今回の参加施設ではINH/RFPについて平均としてWHO/IUATLDの基準を満たしており,全体として良好な結果であったと言えるが,施設によって結果にばらつきが見られINH/RFPについても基準を満たしていない施設があった。抗結核薬の感受性試験情報は効果的な結核診療の上できわめて重要であり,特に薬剤感受性試験の多くが外部検査として検査センターで実施されていることを考慮すると,これらの施設に対する外部精度アセスメント活動は必須であると考えられる。今回参加した23施設はいずれも多くの感受性試験を実施しており,年に数千件という施設もあった。このような大規模施設に対して外部精度アセスメントを実施したことは検査精度の向上に有用であったと考えられる。今後対象施設をさらに拡大する必要がある。
 データの詳細については別途論文として発表する。

表 結核菌薬剤感受性試験パネルテスト結果(平均%)

Isoniazid

Rifampicin

Streptomycin

Ethambutol
感度 95 % 95 % 66 % 96 %
特異度 100 99 94 74
一致率 97 97 86 81
再現性 99 98 96 96
耐性菌の頻度 70 40 30 30
耐性的中率 100 98 83 61
感受性的中率 90 97 87 98


日本結核病学会抗酸菌検査法検討委員会
委員長 嶋 哲也
副委員長 小栗 豊子
委 員 一山  智 小川 賢二 鎌田 有珠 古賀 宏延
塩谷 隆信 竹山 博泰 御手洗 聡 和田 光一
斎藤  肇 冨岡 治明 土井 教生 長沢 光章
樋口 武史
協力 阿部千代治

(出典:結核.Vol.80,No.1:47-48. 2005)

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